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「華氏 911」 に対しての田中宇氏の批判について
祝 「華氏 911」 ロードショウ !! というテキストをアップしたら、こんな記事を見つけた。


「華氏911」とイスラエル



ところが、米国人の中でも、911以来、アメリカの政治情勢をウォッチし続けてきた人々はむしろ、この映画を見て「謀略をやっているのはムーアの方ではないか」と感じている。



911とサウジアラビアのつながりを強調する一方で、イスラエルやネオコンの影響力について全く語っていない「華氏911」は、タカ派やイスラエルが有利になるような配慮を持って制作された可能性が大きい。



この映画を見て、ムーアとネオコンはつながっているのではないか、と指摘する分析("Michael Moore and Richard Perle Combine Forces")もある。



さて、困った。著者の田中宇氏もマイケル・ムーア氏も、おれが支持しているジャーナリストだからである。

世界情勢を分析するとき(これはイラク問題の分析にもつながる)、大雑把に書けば、マクロ、ミドル、ミクロの視点を持ち考察することが、経験上かなり大切だと思うのだが、おれの場合、マクロは 広瀬隆氏、ミドルは 田中宇氏、ミクロは マイケルムーア他各氏の意見を参考にすることが多い。


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ここで本題から外れ、マクロ、ミドル、ミクロという複数の視点を持つことの重要さを指摘しておく。

例えばA運輸という会社のトラックの運転手が居眠り運転で事故を起こしたとしよう。

まず、運転手の責任を問う。これがミクロの視点。

次に、なぜ居眠りしたかを考えた結果、A運輸の労働基準法に違反した社員の雇用体系が判明し、A運輸の責任を問う。これがミドルの視点。

その次に、なぜA運輸が労働基準法を犯したかを考察すると、行政側の問題が浮上し、国家の責任を追及する。これがマクロの視点。

この3つの視点のどれもが大切であるが、気を付けなければならないのが、議論するさいに、この3つを混同するとややこしいことになる、ということである。

これは、イラク人質事件(高遠さんら)の時、ブログでおれが外務省の責任を追及したさい 「政府はいつも悪で外務省の役人など寝ずに働けとかお考えですか?」 という反論のコメントを受けたことに顕著に現れている。あんぐるぐる顛末記 コメント欄「Commented by bravo650 at 2004-04-21 14:14」参照。そのときは「考えてません。むしろ、今まで外務省や、日本の企業などの努力により培っていたアラブ各国との交友関係が、小泉のブッシュ支持と自衛隊派兵で後退するのではと心配しています」 と反論したが、これはむしろ場を荒らげないおれのリップサービスで、外務省の人間が外国の日本人の命のために奔走するのは、魚屋が魚を売るのが当たり前のごとく、極めて当たりまえのことだ。ここで注意せねばならぬのが、相手の土俵に立ち「なにもしない外交官もいる」 と反論すれば泥沼の言い合いになり、議論は成立しなくなるということである。

おれがネットや直接議論した相手で、この視点の切り替えを行えたひとは、今だかつていない。同じ意見を持つふたりが、同じ問題にちがう視点で論ずると口論になることがある。


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さて、そこでミドルの視点の兄貴がミクロの視点の兄貴に疑問の声を発したわけであるが(ムーア氏がミクロの視点しか持っていないという意味ではない)、おれはまだ「華氏911」を観ていないので、なんともいえない(近々見に行くつもりだ。見に行こうツアーなんてやれたら、とも考えている。誰か参加しませんか? 大っぴらにいう勇気はいまのところ、ない ・・・・ 笑)。

ただ、ひとつ気になった点が、田中氏が、ムーア氏の戦略について、想像力をはたらかせていない点だ。

物事を成し遂げようとする場合、必ず戦略が必要だ。

ムーア氏は、報道するだけに留まらず、世の中をよい方向に変えるべく行動する、という思想の徹底が、他のジャーナリストと一線を引く。そのさいに、戦略が必要になってくるのだ。自分の持ってる情報と分析をすべて世間に公表し、あとはあなたたちの番ですよ、というジャーナリストとは、おのずと報道の展開もちがって来るはずであり、そのさい、省かねばならぬ情報や、目を瞑らねばならぬ悪しき対象も出てくることが考えられる。

またここで例えなのだが、あなたがA氏、B氏、C氏という敵を持っていたとする。手ごわいのはA氏で、かつ、あなたにいちばん被害を与えている。そこであなたはA氏に対し、反撃する。そのときあなたは、同時についでとばかり、B氏、C氏を攻撃するだろうか? もしそんなことをしたら、A氏に反撃どころか、あなた自身が破滅するだろう。あなたが普通の感覚の持ち主なら、とりあえずはB氏、C氏をそっとしとくはずだ。またあなたが切れ者ならB氏、C氏に擦りより、利用するかもしれない。

これは姑息でも卑怯でもなく、平和問題でも大切なことだ。問題を絞る、敵を絞る。これをやらないと各方面から総反撃を受けることは元より、見ているひとに、何をやりたいのかよくわからないという大きなデメリットも生ずる。

田名氏のムーア氏に対する批判には、この視点が欠けていると思う。


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とりあえず、ムーア氏に対する田中氏の記事は完結していないので時期尚早かもしれないが、田中氏にメールを送った。以下である。プライバシー保護のための×印を挿入。


送信者: Bravo
日時: 2004年8月18日 4:00
宛先: sakai2003×tanakanews.com
件名: マイケル・ムーアとネオコンの関係について


はじめまして。
ハンドルネーム Bravo
本名 ××××
と申します。
19××年生まれで東京在住です。


田中さんの「国際ニュース解説」をよく参考にさせていただき、世界情勢、とくにアメリカのイラク侵攻の要因を解く強力な鍵とさせていただいています。


【「華氏911」とイスラエル の記事に関して】
http://tanakanews.com/e0716moore.htm

反ブッシュ、反イラク侵攻の尖兵として、尊敬の念を抱いている、マイケル・ムーア氏のネオコンとの繋がりを危惧している記述が見られ、少しショックを受けたので、メールさせて頂きました。

現在「華氏911」は見ていませんが、近々見るつもりでいます。

よって、この映画については何も申せませんが、田中さんがマイケル・ムーアさんに、疑問点について、公開質問状を送られてはどうでしょうか?

わたしとしましても、興味のある問題なので、メールし、提案させて頂きました。

ご存知と思いますが、ムーア氏のアドレスが掲載されているページです。
http://www.michaelmoore.com/email/index.php


これからのコラムも楽しみにしています。


拙ブログのアドレスです。
http://branet.exblog.jp/

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by bra-net | 2004-08-18 12:48 | イラク/ブッシュ/小泉
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