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横山やすし
人間の生と死を考えるとき、最近このひとが頭の中に浮かび上がることが多い。



横山やすし



どういう時に 「人間の生と死を考える」 かというと、TVやネットなどで、「おりこうさん」に接したときである。そして、最近とみに、その機会が多くなってきている、ていうか、どこを見渡しても 「おりこうさん」 ばかりに思えてしまう。


*


おりこうさん ・・・・・・

間違ったことはしない。

皆が褒めることは恥も外聞もなく褒める。

ミスを犯した人間に容赦はない。

ああすればいい、これは駄目だと指摘はするが、自分は何もしない。

人の意見をさも自分の意見であるかのように吹聴する。

どんなことにでも自分の見識があるかのように、よくしゃべる。

どちらが絶対多数であるかを図るアンテナだけは敏感である。

他人に嫌われない術を心得ている。

反論されないように初めから逃げ道を作っている。

自分をよく見せるためのタイミングを終始計っている。

人あたりがいい。

頭もそこそこいい。

そんな自分に気付いていない。


*


反社会的であるはずのロックミュージシャンでさえ、この国では社会に手なずけられ、まわりを見渡し無難な台詞をさがす 「おりこうさん」 だ。

「おりこうさん」 になんら悪いところはない。文句のつけどころもない。

イラクに片目の見えない子供を救いに行ってゲリラに殺されたジャーナリスト橋田信介 さんの死に涙し、北朝鮮拉致被害者の曽我ひとみさんが家族と再会するとねぎらいの言葉を掛け、それをなんの照れもなくネットで公表したりする。

間違っていない。むしろいいひとだ。

しかし ・・・・・・ なんとなく ・・・・・・








ムカつく。



このように書くと、例えば、


『ムカつく』 という言葉が流行っているとうり、『キレる』人間が増えたようだ。このことが最近とみに増えてきた凶悪犯罪に影響を


などと日本の犯罪発生率の推移を調べる努力もせずに新聞の論説みたいな血の通わない冷徹な文で 「おりこうさん」 は反論するのだろうな。



あんたは正しいよ。




そこでおれは考えるわけだ。

「おりこうさん」 て、死ぬとみんなから思い出してもらえるのかな、と。

また、誰の心にもその生きざまを刻めないない人生なんて、なんの価値があるのかな、と ・・・・・・。


*


そんなときに思い出すのが、冒頭に挙げた 「横山やすし」 である。

このリンク先を斜め読みでいいから読んで欲しい。


破滅型芸人、横山やすし


やっさんのトラブルの記録である。この記録には、吉本興業から契約解除のきっかけとなった、晩年の大きな事件数件は書かれていない。

ようするに、名実共に反社会的人間だったわけだ。

次に、このリンク先を読んで欲しい。これも斜め読みでもよい。



横山やすしさんのご冥福をお祈りします

葬儀前後の関係者のコメント



西川きよしはじめ、11名の弔辞が掲載されているが、驚いたことに、一字一句もこういう場に有り勝ちな取り繕った発言がない。心から出ている肉声と思われる。

やっさん ・・・・・・・ 生前から横山やすしのことを、おれの周り(関西)ではこう読んでいた。普通、愛称はマスコミ内や、ファンだけに使われるものだが、「やっさん」 という呼び名はみな普通に使っていた。

やっさんが死んで、おれは悲しくなったかも知れないが、ファンというわけでもないので、忘れかけていた。確か一周忌も迎えてないときのことだったと思う。TVのCMにコメディアンの大平サブローがやっさんの扮装をしたモノマネで登場した(関西ローカルだけかも知れない)。

驚いた。亡くなったばかりなのにモノマネがCMに流れるなんて !

しかし、CMはすんなりと、なんの不自然さもなくおれの心に流れてきた。その時、やっさんてすごい人だったんだ、と強く実感した。



死んでからも皆から愛されている !!




亡くなった直後の追悼番組を見たが、西川きよしやら横山ノックたち関西のお笑いの大御所が勢ぞろいし、終始やっさんの思い出話で笑いの連続だった。

関西で生まれ育ったおれのまわりでは、生前からやっさんのことを悪く言う人間はいなかったと思う。

「しゃあないな。やっさんは」

そんな感じで受け止められていた。

「おりこうさん」 にTVやネットで出会うとやっさんのことを思い出すことが多い。

思い出すと、なんとなくほっとする。


*


やっさんのエピソード ・・・・・・

やっさんはプロのモーターボート選手であるばかりか、小型飛行機の免許も持ち、所有していた。

やっさんは毎日のように 「同じ床屋」 に通い散髪していた。

やっさんがウソをついてTV番組をすっぽかし、ボートのレースに出場したのだが、優勝してスポーツ誌に大きく取り上げられ吉本にバレたのは、きよしも認める実話である(きよしは知っていて許していた)。

やっさんがTVスクランブル出演時、酔っ払って暴言を吐くことが多く、その度にマスコミで話題になっていたのだが、そのときのやっさんのマネージャーが、確信しているとし、追悼本で語ったところによると、久米宏に話術で負けている、と痛感し、そこから逃避していたそうだ。

最後に見たおれのやっさんは、それほど大きくない自宅の狭い部屋で、くたびれた表情と、お腹だけ膨らんだ痩せた体で出演した、TVのドキュメント番組だった。晩年だったと思う。カメラの前で泣いてばかりいた記憶がある。弟子(だったと思う)のインタビューでも、当時自宅にやっさんを訪問すると涙を流し、漫才について語り、なかなか帰してくれないので心底困ったという。

やっさんは、こんなところでも元気である ⇒ 横山やすし伝説

西川きよしの弔辞。

自分よう怒ってたな。なんでそんなに 怒こんのかと思うくらい。でも、自分がなんで怒ってるのか、わし全部知ってたで。











やっさん !!






ほんま問題ばかり起こしてたけど、



おれ、あんたの生きざま










忘れへんで !!













横山やすし 画像

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by bra-net | 2004-07-21 18:25 | 時事
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