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むkし話をかくひとをかくむkし話の作家をかくぽいむkし話 4
   からの続き。



 背後に殺気を感じた作家はPCチェアーを妻のほうへ回転させ笑みをうかべると大きなこえで言った。
 「どこへ行く?」

 咄嗟の機転で妻の罵倒を浴びることもなく作家は妻と取材を兼ねて井の頭公園へ向かうことになった。
 作家夫婦は京王電鉄調布駅から特急に乗り、明大前駅で井の頭線に乗り換えようとしたのだが、目の前で吉祥寺行急行のドアが閉まった。
 走り去る車両のなかに鬼をみたように思ったが、作家はすぐにそれを打ち消した。
 「気のせいだ。桃太郎と鬼のバトルシーンで悩んでいたからな」

 桃太郎と男と女は井の頭池の畔のベンチに腰掛けていた。目の前を若い男女を乗せたボートが通りすぎていく。
 「あのカップル、もうすぐわかれるわ」
 「なんで?」
 「そういうジンクスがあるの、この池には。ボートに乗ったら別れるって」
 「ま、確率論でいけば何分の一かは当たるだろうな」
 「ところで先輩」と桃太郎。「作家と Bravo のどちらかがぼくたちと同じ虚構内人物なんですよね。それ、知ってるのかな。虚構内人物であるほうは」
 「わからないな。それは創造主の意思によることだからな。おれたちは自分たちが虚構内人物であることを知っているキャラクターを創造主である Bravo から背負わされているけどな」
 「どっちがしあわせなんでしょうね。知っているのと知っていないの」
 「むつかしいテーマだな」
 「わたしも悩むことがあるわ。なんのために生きてるんだろうって考えることあるもんね。虚構内人物であることを知らないほうが楽しく生きられるんじゃないかって。動物たちって楽しそうでしょ。いや、そうじゃなくっても自分の存在に悩むことはないわ」
 「人間でもそういうひとっているよね。屈託なく生きてるひと。おれも若い頃はうらやましく思うことがあったな」
 「作家のトーマス・マンも小説のなかで 『ひたいの刻印』 て言葉を使ってとりあげてますよね」
 「ひたいの刻印?」と女。
 「はい。それを打たれた人間は一生 『存在』 の悩みを背負って生きて行かねばならない、って。 『トニオ・クレーゲル』 だったかな。もちろん抽象的な意味ですけど」
 「だったらおれはその刻印がじょじょに薄くなっているのかもな。あまり悩まなくなった。原因を自分なりに分析してみると、



人生をたのしむテクニックが増えた。


思考に神経質さがなくなってきた。


あたまが次第に馬鹿になってきている。



の三つが挙げられるかな。三つめが大きいかもな。ははは」
 「おおぅっ」桃太郎と女が同時に声をあげた。
 「タグがはいった」

 名僧が三人の元へ駆け寄ってきた。
 「桃太郎! なにをしておる。鬼がくるぞ!」


                                つづく




Bravo の小説・目次

by bra-net | 2004-07-06 20:44 | 小説、詩 | Comments(4)
Commented by mitsu-ken at 2004-07-07 14:57
おお、やっぱ広い方が具合いいですね。記念カキコ。
Commented by bra-net at 2004-07-07 15:06
〆mitsu-ken さん     
>おお、やっぱ広い方が具合いいですね。
ですね。もう3行には戻れないかも・・・。

わざわざコメントさんきゅです~~~ヾ(^∇^)
カテゴリの「リンク Brog」に、リンクさせて頂きました~~
Commented by himao at 2004-07-07 17:58 x
あの、さりげなく、それとなく、なんとなく、話の続きが気になるんですが、続編は書かれるんでしょうか? そして現実と虚構が入り混じってきた話の結末やいかに!? そもそも結末はあるのでしょうか? 謎は深まるばかりでございます…
Commented by bra-net at 2004-07-07 23:41
〆himao さん      
>話の続きが気になるんですが、
ありがとうございます!!
連載ものはコメントぜんぜん付かないので、悲しくなってたとこなんですよう。

>続編は書かれるんでしょうか?
もちろん、「つづく」とあるので、続きますよ! himao さんのコメントも入ったことだし。がんばりまっす!
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